ドラッグストア薬剤師は、ここ数年で急激に注目され始めました。
ドラッグストアの調剤併設戦略にともない高年収の求人が増え、転職市場でも人気です。
高年収・キャリア志向であればドラッグストアへの転職はぴったりです。
現場のエリアリーダーがドラッグストアの現状をふまえ、ドラッグストアへの転職について解説します。
業界再編が加速中|年収アップを狙うなら今がチャンス
ウエルシア×ツルハ統合で“再編の波”が現場にも
2025年4月11日、イオン株式会社、株式会社ツルハホールディングス、ウエルシアホールディングス株式会社の3社は、資本業務提携に係る最終契約を締結しました。
これにより、ウエルシアHDはツルハHDの完全子会社となり、2025年12月1日をもって経営統合が実施される予定です。
参考:イオン株式会社 プレスリリース
業界1位と2位の統合ということもあり、ドラッグストア業界での働き方は今後も変化がありそうです。
ナショナルが主流に? エリア希望者は戦略的な選択を
現在、多くの企業で「全国勤務可能な総合職」のナショナル職が採用の中心になりつつあります。
とくに都市部では店舗が飽和状態になっており、エリア外での勤務が前提になることも。
地域限定での勤務を希望する場合は、事前に求人票やエージェントを通じて条件を精査することが不可欠です。
年収アップの鍵は「ポストの空白」と「売上構成の強み」
業界再編のなかで、キャリアアップのチャンスも広がっています。私自身の周囲でも、転職を機にチーフ・店長・エリアマネージャーに抜擢された例は少なくありません。
また、ドラッグストアは調剤以外の売上(OTC・日用品・化粧品)を持つため、近年の賃上げトレンドにも対応しやすく、年収アップの可能性が病院や調剤薬局より高いのが実情です。
一方で、病院や調剤薬局では、診療報酬・調剤報酬の改定により、売上の確保が難しくなっており給与も頭打ちになりやすい傾向があります。
この数年は、まさにドラッグストア薬剤師にとって「年収とキャリアアップの両方を狙える絶好のタイミング」といえるでしょう。
転職成功の鍵は「情報収集と比較検討」
業界再編が進む今、転職成功の鍵は「情報収集と比較検討」にあります。特に、転職エージェントを活用することで、非公開求人や最新の市場動向を把握しやすくなります。
以下に、ドラッグストア薬剤師の転職に強いエージェントをいくつかご紹介します:
これらのエージェントを活用して、自分に合った職場を見つけ、キャリアアップを目指しましょう。
1. ドラッグストア薬剤師の仕事内容は調剤が中心。でも求められる+αの視点
いまのドラッグストア薬剤師は「調剤」がメイン業務
以前は「レジ打ち」「品出し」「OTC販売」がドラッグストア薬剤師の主な業務というイメージもありましたが、現在では調剤室内での業務が中心です。
もちろん、ヘルスケア商品や化粧品の案内が求められる場面もありますが、あくまで補助的な役割。調剤業務が8割以上を占める店舗も多くあります。
私自身、新人時代の研修を除けば、レジ打ちや品出しを担当したことはほとんどありません(ただし、店舗の規模や方針により差はあります)。
調剤薬局からの転職は“比較的なじみやすい”
調剤薬局出身者であれば、基本的な業務フローに大きな違いはなく、比較的スムーズに適応できるケースが多いと感じています。
違いとしては、OTC販売の機会や、ヘルスケア商品の接客スキルが求められる場面がある程度であり、これらもOJTや先輩指導で徐々に対応可能です。
2. 病院薬剤師からドラッグストア転職は大変?考え方のギャップと対応力
病院との最大の違いは「数字」への意識
病院薬剤師からの転職者で特にギャップを感じやすいのが、「営利企業としての考え方」です。
ドラッグストアでは、売上・加算・処方箋処理枚数・薬歴記載時間など、“業務効率”と“利益”のバランスが重要視されます。
病院でも収益や加算を意識することはあるかもしれませんが、ドラッグストアでは日常的に数字の指標を追いかける文化が根付いています。
「一人薬剤師体制」で求められる判断力とスピード感
さらに、一人薬剤師で店舗を運営する場面も珍しくありません。
理想を言えば全員の患者さんに丁寧な対応をしたいところですが、混雑時にはそうもいきません。限られた時間内で必要なことだけを端的に伝える会話術が求められます。
「服薬指導は患者さんへの寄り添い」という病院的価値観をそのままの割合で持ち込むと、現場で苦しくなる可能性があります。
スピード感や効率性を意識しつつ、どこまで寄り添うかの判断力も転職成功の鍵になります。
2. 平均年収・時給相場【業界5社比較データ付き】
2025年現在、ドラッグストア薬剤師の年収は平均550万〜650万円が主流。以下は大手5社の公開データや求人票をもとにした参考相場です。
企業名 | 想定年収レンジ | 出典 |
---|---|---|
コスモス薬品 | 632〜652万円 | マイナビ求人 |
ツルハホールディングス | 430〜720万円 | マイナビ薬剤師 |
ウエルシア薬局 | 515〜645万円 | indeed |
マツキヨココカラ&カンパニー | 430〜700万円 | エンゲージ |
スギ薬局グループ | 400〜760万円 | スタンバイ |
ただし、ドラッグストアの年収レンジはエリア(地域指定)、リージョナル(近隣県まで異動あり)、ナショナル(全国職)といった勤務区分に由来するのが一般的です。
- エリア500〜550万円
- リージョナル530〜600万円
- ナショナル550〜700万円
上記が区分による、おおまかな目安です。
ナショナル職は企業によって、手当に差がでやすくレンジに幅があります。
3. ドラッグストア薬剤師の働きやすさをチェック|残業・有給・ノルマ
残業:月5時間以内が目標
- 上場企業が多く、会社方針として残業削減を徹底。
- 生活残業(自発的な延長勤務)への注意喚起が増えている。
- 1分単位で残業代が支給されるケースがほとんど。
有給:人員体制で差はあるが取得しやすい
- 人手が少ないエリアでは若干取りづらいことも。
- 筆者の実績:旅行・帰省などで申請した有給が 却下されたことはない。消滅した有給もゼロ。
- エリア全体でシフト調整できる企業が多く、計画的に 休み希望を出せば取得しやすい。
ドラッグストア業界では「残業5時間以内」「1分単位支給」が 一般化しつつあります。
有給取得は店舗規模やエリア人員に左右されるものの、 旅行や帰省など事前に予定が決まっている休暇は ほぼ問題なく取得可能です。
調剤加算ノルマの違い
加算取得「ノルマ」は基本的にはありません。ただし、数値目標があるのが一般的です。
会社としてKPIが設定され、個人目標を設定して取り組みます。加算は数字で評価しやすい指標のため、ボーナスや昇格・昇給に影響しやすいです。
ドラッグストアでは加算取得ノウハウがまだ整備されていないことも多く、病院・調剤での加算取得経験を面接で語れると高評価です。
4. メリット・デメリットを徹底比較
ドラッグストア薬剤師のメリット・デメリットを比較します。
メリット | デメリット |
---|---|
✅ 高年収・インセンティブ制度 | ❌ 土日シフト・深夜営業・一人薬剤師あり |
✅ 店舗運営スキルが身につく | ❌ 全国転勤の可能性 |
✅ 管理職ポストが多い | ❌ 調剤以外の業務への理解も必要 |
✅ OTC×調剤×在宅で幅広い経験 | ❌ 調剤フローが変更になりやすい |
店舗数が多いため、店舗により働き方に差が出てしまいます。
エリア職を選択しても、基本的にエリア内に複数店舗あるため異動は発生します。
職場環境を変えたくない人にはデメリットが大きいです。
逆に、同じ店舗で飽きてしまう方や、複数店舗で経験を積みたい方にはおすすめです。
5. 向いている人/向かない人チェックリスト
ドラッグストア薬剤師への転職が向いている人、向かない人を紹介します。
高年収だからといって転職してしまうと失敗してしまう可能性があります。
向いている人
- 数字を追うのが苦にならない
- 接客・提案力を伸ばしたい
- 課題解決・改善提案が得意
- 早期昇格を目指したい
向かない人
- 完全土日休みを最優先したい
- 目標管理やKPI評価に抵抗がある
- 異動を絶対に避けたい
6. 失敗しない転職5ステップ|数字+改善提案がカギ
ドラッグストアの面接は企業型です。
薬剤師の専門性に加え、売上・効率アップの実績が評価されやすいです。
- 自己分析
・転職理由/希望年収/勤務地を整理
・「なぜドラッグストア?」を一言で答えられるように - 面接準備
・数字で語れる実績を用意
処方箋応需数を+120枚/月、
薬歴記載時間を15%短縮
加算取得率を+12% ・改善プロセス → 結果 → 学び を1分で説明できるよう練習 - エージェント活用
・地域限定正社員の有無を必ず確認
・非公開求人を比較して条件をベスト化 - 条件交渉
・年収だけでなく
住宅・家族・転勤手当も総額でチェック
・手当込み年収を表にして比較すると◎ - 入社準備
・店舗見学で陳列やオペレーションを観察
・中途社員向けの研修がある企業も
数字 × 改善提案をセットで語ると、即戦力として高評価を得やすくなります。
基本的に中途採用の方には即戦力として期待しています。
面接時に長所を話してくれる方は多いです。
ただ、それが前職でどう売上に影響したか、入社後どう売上に貢献できるかが伝わりません。
地域活動に参加しました。
病院薬剤師として病態への理解がある
ドラッグストアは企業的な側面が強く、地域特性に合わせて現場単位で改善していくことが多いです。
そのため、自分で考えられる人や提案できる人を求めています。
逆に主体性がある方は、店舗と協力してイベントを開いたり、社内ベンチャー制度で起業したり、好きなことに挑戦できるので楽しく仕事ができる可能性が高いです。
7. 転職サイトを選ぶな?使うな?|ドラッグストア薬剤師におすすめ転職エージェント3選
「転職サイトを選ぶな」「転職サイトを使うな」と言われることがあります。
実際にはどうでしょうか?
多くの人は転職サイトを使うべき
「転職サイトを選ぶな」は転職サイトが条件や希望に沿った求人を紹介してくれないといった背景から言われているようです。
これは、優良な求人サイトを選ぶことで解消できます。また、複数の求人サイトに登録することで自分の条件にもっともあう求人を選べます。可能性が高い転職サイトは次の項で紹介します。
「転職サイトを使うな」は転職サイトが紹介料を取るため、直接自分で交渉した方が給与アップにつながるという背景があります。
これは事実です。ただ、自分にあった薬局を自分で探し、自分で採用交渉と給与交渉を行えますか?
多くの場合は難しいかと思います。
転職サイト・転職エージェントが代わりにすべてやってくれます。働きやすい職場を探すには候補は多い方が良いですし、大手は直接交渉がない場合もあるので転職サイトは多くの方が使ったほうが良い結果につながります。
おすすめ転職エージェント3社【比較早見表】
希望にあった転職サイトを紹介してくれる可能性が高い評価が高い転職サイトを紹介します。
登録は無料なので、まずは登録して相談してみましょう。
エージェント | 強み | ドラッグストア求人 |
---|---|---|
ファルマスタッフ | 調剤併設 DgS 求人数 No.1 / 面接同席サポート | 全国 10,000 件超 |
アポプラスキャリア | 年収700万以上のハイクラス案件が豊富 | 都市部の非公開求人に強い |
お仕事ラボ | 逆指名 OK / 地域限定正社員も探せる | 地方 × 高待遇求人に定評 |
ファルマスタッフについては他の記事でくわしく説明しているので気になる方はみてみてください。

エージェント活用 3 つのコツ
- 3 社以上に“同日登録”
条件の良い非公開求人は早い者勝ち。情報を網羅するため、まずは 3 社まとめて登録。 - 「地域限定正社員」の有無を最初に確認
希望エリア × 年収の最大化をエージェントに指示。 - 面接前に年収テーブルを共有してもらう
想定年収レンジと手当の詳細を事前に把握し、交渉カードを準備。
8. よくある質問(FAQ)
- 調剤未経験でも転職できますか?
-
可能です。MRや企業からの転職の方も多いです。
基本的に大手ドラッグストアであれば研修制度がありますが、入社後数回しかありません。調剤業務はOJTで身につけていくことになります。未経験でも採用はありますが、それなりに準備が必要です。
- 週休3日は可能?
-
派遣やパートという選択肢になるでしょう。
- 全国転勤は避けられる?
-
エリア職があるドラッグストアを選びましょう。
ただし、正社員であればエリア内での異動は避けられない可能性が高いです。
9. まとめ|収入と成長を両立させたい薬剤師へ
ドラッグストア薬剤師は、高年収とキャリアアップの両立が可能な選択肢です。
調剤・病院での経験を活かせば、さらに活躍の場が広がります。


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