「毎月30時間くらい残業していて毎日つらい」
「ほかの薬局はどれくらい残業しているんだろう」
毎日残業で月30時間の残業。
薬剤師の仕事は命に関わるため
精神的にも肉体的にも大変です。
結論から言うと、
月30時間の残業は、
業界平均よりも明らかに多めです。
この記事では、ドラッグストアの現役リーダーの私が、ドラッグストア薬剤師の残業の状況や
転職を検討したほうがいいケースなどを解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 残業が多い店舗の特徴
- ドラッグストアの異動の裏側
- 残業が多くて、転職した方がいいケース
「やめたい」が口癖なのに、
リーダーに出世した現役DgS薬剤師
- 現役ドラッグストア薬剤師
- 複数店舗を担当するエリアリーダー
- 中小調剤薬局グループで経営者の修行中
ドラッグストア薬剤師の
リアルな働き方や
採用する側の視点をふまえて
転職について発信しています。

30時間の残業は多い!残業時間の目安を解説
月30時間の残業は、平均と比較すると多いです。
データを元に確認してみましょう。
【統計データで比較】薬剤師の残業時間の平均は?
厚生労働省の
「令和5年 賃金構造基本統計調査」によると
薬剤師全体の平均残業時間は約10時間です。
参考:厚生労働省/令和5年賃金構造基本統計調査
ただし、上記は企業などの薬剤師も含む数字です。
調剤をする病院・調剤・ドラッグストアに絞ると
もう少し増える傾向にあり、
10〜20時間程度が平均となってきます。
それでも、「月30時間」は業界の中でも”多め”です。
職場別の残業の違い|病院・薬局・ドラッグストア
薬剤師の職場によっても
残業時間は異なります。
それぞれの職場ごとの
残業の傾向をみていきましょう。
薬局薬剤師の残業
薬局薬剤師は立地や規模によって異なりますが、
外来状況に左右されるため残業が突発的に発生します。
また、冬〜春にかけての風邪や花粉症の
繁忙期は残業が発生しやすいです。
病院薬剤師の残業
病院はある程度大きいところであれば、
勤務時間が決まっているっているため
残業が発生しづらいです。
ただし、急性期の病院は突発的な残業が発生したり、
人数が少ない病院では慢性的な残業が発生したりします。
ドラッグストア薬剤師の残業
ドラッグストアも基本的には薬局と同じです。
会社名は伏せますが、
私の所属する会社全体では
11時間程度の平均残業時間です。
ただ、店舗差が大きく、
月2時間程度の店もあれば、
月40時間を超える店もあります。
同じ会社内でも、店舗差が大きいのが実情です。
ドラッグストア薬剤師の残業推移
最近のドラッグストアは残業削減の流れが強いです。
ドラッグストアはここ数年で急激に店舗数が増えています。
5年ほど前は開局ペースに対して薬剤師の採用が追いつかず、
運営のためには残業が当たりまえという状態でした。
しかし、ここ数年でドラッグストアの業界再編がすすみ、薬剤師の供給が追いつきつつあります。
まだまだ、薬剤師が足りていない地域もありますが、
今後、残業削減の動きはより強くなっていくと予想されます。

残業が多くなりやすい薬局の特徴3つ
まずは、残業が多くなりやすい薬局の
特徴を確認してみましょう。
処方箋枚数が多い
やはり、忙しい店舗は残業が多くなりがちです。
転職などで薬局の忙しさをチェックする際には
「処方箋枚数」と「薬剤師一人当たりの枚数」は
確認しておきたいです。
単純に処方箋枚数が多いと、薬歴に追われることが多いです。
また、薬剤師の人数で処方箋枚数を割って
一人当たりがどれくらいの処方箋枚数投薬するかもよい指標になります。
薬剤師一人当たりの1日の処方箋枚数は
平均40枚以内になるように
薬剤師を配置しなければなりません。
人数が多ければ投薬のみに専念できるため、
一人当たりの枚数が同じでも負担は減っていきます。
スキルや技術料によっても変わりますが、
残業になりづらい枚数の目安を上げておきます。
薬剤師数 | 処方箋枚数 | 一人当たりの枚数 |
1人 | 20枚 | 20枚 |
2人 | 45枚 | 22.5枚 |
3人 | 80枚 | 26.6枚 |
4人 | 120枚 | 30枚 |
事務の人数によっても変わりますが、
上記はある程度余裕のある枚数かと思います。
ゆるく働きたい方は
一人当たり20〜25枚程度の求人があれば、
転職を検討してみてもよいと思います。

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ファルマスタッフについては他の記事で詳しく解説しているので見てみてください。

在宅や施設への対応がある
在宅や施設は外来よりも負担が大きいです。
とくに施設は薬のセットや
薬を持っていくことなど手間がかかります。
ケアマネさんや施設とのやりとりもあるので、
処方箋枚数以上に忙しく感じます。
門前病院が営業時間をこえての診察が多い
門前薬局は、
クリニックの最後の患者さんが来局されるまで
薬局を閉めれないことが多いです。
閉局時間になっても
患者さんを待つため、残業となります。
病院とのお付き合いがあるので
これは仕方がありません。
【体験談】私が実際に働いた店舗の残業時間
参考として
私が今まで働いたドラッグストア店舗の
残業時間を紹介します。
店舗 | 処方箋枚数 | 薬剤師数 | 店舗特徴 | 残業時間 |
---|---|---|---|---|
A店舗 | 3500枚 | 正社員4・パート4 | 門前 深夜24時まで 土日祝日営業 | 30時間 |
B店舗 | 2500枚 | 正社員4・パート4 | 門前 2施設 | 20時間 |
C店舗 | 600枚 | 正社員1 | 門前(眼科) | 10時間 |
D店舗 | 600枚 | 正社員1 | 面薬局 | 5時間 |
上記は一部ですが
やはり、
- 枚数が多い
- 面より門前
のほうが残業時間が長い傾向でした。
また、A店舗の30時間からD店舗の5時間まで
同じ会社内でも大きな差を経験しています。
月30時間を超えるなら“転職も検討”をすすめる理由
ここまで、薬剤師の残業状況について解説してきました。
30時間の残業は業界では多めです。
体力的にきつい、つらい場合には、
体力のあるうちに早めに動きましょう。
個人薬局や病院では転職を検討しましょう。
グループ薬局ならまずは異動希望を出してみましょう。
場合によっては、転職も検討したほうがよいかもしれません。
① 年間で360時間=45日分の“労働”
月30時間残業をすると年間で360時間となります。
これは8時間労働だと45日分に相当します。
毎日1.5時間程度残業している計算です。
残業代がでるから大丈夫という方も
長く続くと体力・メンタルへの負担も大きくなります。
もし、同じ給料で
残業が減るとしたらどうでしょう?
残業時間が減り、同程度の給料がもらえる可能性もあるので
一度転職エージェントに相談をおすすめします。
② 異動希望がとおらないケースも多い
グループ薬局では異動で残業が減る
可能性もあります。
私自身30時間〜5時間まで店舗によって
残業には大きな差がありました。
ただ、異動は希望どおりになる保証はないため
ながく待つ間に
精神をすり減らしてしまう可能性があります。
「この環境、異動すれば変わるはず」と期待したくなりますが、
実際にはなかなかとおらないケースもあります。
異動希望をだして、あいまいな返答なら
転職を検討したほうが早いかもしれません。
転職に興味はあるけど、不安という方におすすめの記事です。
ぜひ参考にしてみてください。

異動はどう決まる?現場リーダーが語る“異動のリアル”
残業が多い店舗から抜け出すために、
大手調剤やドラッグストアでは
異動という可能性があります。
私はエリアリーダーとして
エリア内の人事異動について
検討する機会が多いです。
この章では、
異動がどのような場合に発生するか、
どうやって決まるかを解説します。
異動が発生する主なパターン
異動が検討されるのは以下のケースが多いです。
- 退職や産休・育休などの欠員補充
- 勤務区分の変更(エリア職や全国職)
- 店舗内の人間関係
- ステップアップ目的
最近は、
「かかりつけ薬剤師」
「地域支援体制加算」
といった加算算定のために、
戦略的に異動を検討することが多くなりました。
そのため、「人が抜けたから誰かを送る」という
対応型の異動が多いのが現場の実情です。
ステップアップ目的に異動は若手だと
加算に影響がないため行いやすいですが、
3年目・5年目になると
タイミングを計って計画的に行います。
人間関係の異動や
残業が多いなどの個人的な異動希望は
会社の都合がマッチすれば検討となります。
異動者を決める判断軸は?
次に、異動対象者を決定する判断軸について解説します。
- 能力(管理薬剤師経験・在宅経験など)
- 管理者要件(会社ごとに要件あり)
- かかりつけ薬剤師/地域支援加算の経験
- 勤務地区分(地域職/エリア職/ナショナル職)
まずは
”管理薬剤師をやれる” か
というのは重要なポイントです。
一人薬剤師の店舗も多いので、
まずは継続して運営するために管理者は必須です。
また、大手は勤務地希望に合わせて
勤務区分が設定できる企業が多いです。
エリア職の多い地域では異動が詰まりやすく、
そもそも異動の選択肢が一人しかいない
ということもあります。
現実:「希望や育成より穴埋め」が優先される
ドラッグストや大手調剤において
異動=キャリア形成ではなく、
「誰かが辞めたから、とりあえず埋める」
が優先されがちです。
残業時間が多い方は
「異動すればラクになる」
と思い続けて耐えるより、
環境が改善されないなら、早めに転職という
選択肢を持つことも大切です。
転職を検討する際のチェックポイント
いざ、転職するときに
残業が少ない薬局を選ぶために
重要なチェックポイント紹介します。
処方箋枚数×人員体制のバランスをチェック
処方箋枚数は求人で確認できます。
人数を事前に確認することは難しいですが
転職エージェントを活用すれば
確認してもらえるでしょう。
面接時に1日の処方箋枚数を
確認しておくのもよいでしょう。
面接時の印象を悪くすることはありません。
転職エージェントの活用でミスマッチを防ぐ(直接応募でも)
事前の確認は
転職エージェント活用が一番おすすめです。
薬剤師数は転職サイトには載っていない情報を
転職エージェントを活用すれば得られます。
あるいは、転職エージェントが残業状況を
把握している可能性もあります。
薬剤師の転職は
”転職サイトを選ぶな”
と言われることがあります。
転職サイトや転職エージェントをとおすことにより
紹介料がかかるため、
直接薬局と交渉すれば
給料が上がる可能性があるためです。
ただし、自分で情報収集や交渉を行う必要があり
転職失敗のリスクは高くなります。
残業や働きやすさを重視するのであれば
転職エージェントの活用がおすすめです。
転職相談は無料なのでとりあえず登録して話を聞いてみましょう!
薬剤師満足度の高いファルマスタッフがおすすめです。
ファルマスタッフについては他の記事で詳しく解説しているので見てみてください。


まとめ|“残業30時間”に悩む薬剤師へ
薬剤師として長く働くためには、
自分に合った環境を選ぶことが最も重要です。
私自身も30時間の残業をしていたことがあり、
転職を検討していました。
幸い、私は入社数年だったため管理薬剤師に
ステップアップすることで抜け出すことができました。
しかし、異動はいつ決まるかわかりません。
エリアリーダーになった、今だからこそ分かります。
残業が続く状態で
「そのうち異動になるはず…」
と我慢を続けるのではなく、
- 今の環境が異常かどうかを判断する
- 希望が通らない構造的理由を理解する
- 転職も視野に入れて情報収集する
こうした一歩が、あなたの働き方を大きく変えるはずです。


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