「薬剤師は転職サイトを選ぶな」
そんな言葉を見かけて、不安になったことはありませんか?
「紹介料のせいで給料が下がるって本当?」
「しつこく連絡が来て迷惑?」
「エージェントに頼るのは損?」
実際にネット上では、転職サイトを否定する意見も多く出回っています。
ですが、私は現役でドラッグストア薬剤師エリアリーダーとして、人材採用・面接にも関わってきた立場から言わせていただくと、
「選ぶな」ではなく、「選び方と使い方を間違えるな」
が本質です。
むしろ、正しく使いこなせば、転職サイトは薬剤師にとって強力な武器になります。
この記事では「選ぶな」と言われる理由の真相と、転職で後悔しないための判断基準・活用方法をわかりやすく解説します。
「やめたい」が口癖なのに、
リーダーに出世した現役DgS薬剤師
- 現役ドラッグストア薬剤師
- 複数店舗を担当するエリアリーダー
- 中小調剤薬局グループで経営者の修行中
ドラッグストア薬剤師の
リアルな働き方や
採用する側の視点をふまえて
転職について発信しています。

「転職サイトを選ぶな」と言われる5つの理由
「転職サイトを使うな」
そんな極端な意見が出る背景には、それなりの“理由”が存在します。
でもそれは、エージェントというサービスが悪いのではなく、一部の体験談や誤解、使い方のミスに過ぎないケースが多いのです。
ここでは、よくある「選ぶな」と言われる6つの理由と、その裏側にある現実を見ていきましょう。
1. 連絡がしつこいことがあるから
「毎日のように電話がくる」
「LINEが深夜に届く」
こうした“しつこい連絡”に嫌気がさして、エージェントに不信感を持つ方は少なくありません。
ただし、連絡頻度はあらかじめ調整可能です。
私の同僚でも「連絡が多すぎて断った」という人がいますが、
最初に「連絡はメールで」「日中は電話NG」など希望を伝えておけば対応してくれるエージェントも多いです。
2. 希望条件と違う求人を紹介されることがあるから
「土日休みが希望なのに、シフト制の求人ばかり」
「近場希望なのに、車で1時間のエリアばかり」
これは、以下のような原因で起きます。
- 希望条件があいまいなまま登録した
- 希望条件が厳しすぎて、現実的な提案をされた
- 担当者がヒアリング不足 or スキル不足だった
条件が明確であれば、精度の高い求人提案は十分に可能です。
エージェント任せにせず、自分の希望に優先順位をつけておくことが大切です。
3. 転職を急かされることがあるから
「今すぐ応募しないと埋まりますよ」
「この求人、人気なので早く動いた方がいいです」
こうした“急かしトーク”にプレッシャーを感じる方もいます。
もちろん人気求人がすぐ埋まるのも事実ですが、焦って判断する必要はありません。
エージェント側も企業によっては、ノルマが課されているケースも多いです。
転職者の状況や判断をしてくれる転職エージェントを選べば、自分のペースで転職活動ができます。
私は採用側として、「転職理由が浅い人」「焦って決めた人」はすぐ辞めるリスクが高いと判断します。
面接時に弊社のことを事前に何も調べす条件だけで応募しているケースです。
あなたの軸をもって慎重に選んだ方が、面接でも説得力が増します。
4. 自分に合った担当者に出会えないことがあるから
「話が噛み合わない」
「薬剤師業界の知識が薄い」
こんな担当者に当たると、転職そのものに不安を感じてしまうかもしれません。
同じ転職サイトでも、「親身な担当者」と「事務的な担当者」には明確な差があります。
でも、担当者の変更は可能です。
また、転職サイトを複数併用することで、自分に合った担当者に出会える確率が上がります。
複数の転職サイトに登録して比較するのが鉄則です。
知人薬剤師も「担当があわなくて、他のエージェントに変えたら転職できた」と話していました。
我慢せず、相性が悪ければ変えてもらったり、他者を検討したりするのは普通です。
6. 直接応募の方が給料アップしやすいという意見があるから
紹介料(年収の20〜35%)が発生するエージェント経由よりも、
「直接応募の方が企業が人件費を回しやすく、年収アップしやすい」という意見もあります。
たしかに、中小の調剤薬局では直接応募で給料交渉がとおることがあります。
中小薬局では、高い紹介料を払わなくてもよいならと、給料に還元してくれることもあります。
決裁権を持つ担当者の判断が反映しやすいことや、距離が近いため交渉しやすいからです。
しかし、大手調剤薬局やドラッグストアでは給与テーブルが決まっており、どの経路でも年収はほぼ変わりません。
大手企業では人事部が履歴書を見ており、薬剤師視点でのアピールが伝わりづらいこともあります。
エージェント経由で履歴書や面接対策を受けた人の方が印象が良いことはよくあります。
このように、「選ぶな」と言われる理由には一理あるものの、正しく理解して対処すれば回避できます。
また、多くの人にとっては転職エージェントを使うメリットのほうが大きいです。
次は、「それでも薬剤師が転職サイトを使うべき理由」をお伝えします。
それでも薬剤師が転職サイトを使うべき3つの理由
ここまでで「転職サイトを選ぶな」と言われる理由を見てきました。
ですが、薬剤師の転職において転職サイトを使う価値は非常に高いのが事実です。
とくに、転職経験が少ない方や、現職が忙しく情報収集に手が回らない方にとっては、情報・交渉・対策を一手に引き受けてくれる転職サイトの存在は心強い味方になります。
ここでは、薬剤師が転職サイトを使うべき3つの理由を紹介します。
1. 求人票に載っていない“職場の内情”を知ることができる
転職サイトの強みの一つは、企業の“内情”を把握していることです。
- 実際の残業時間や有休取得率
- 店舗の人間関係や雰囲気
- 店長・管理薬剤師の人柄
- 面接官の傾向やよく聞かれる質問
など、求人票や企業HPには一切書かれていない情報を、エージェント経由で得られることがあります。
私自身、多くの転職者と関わってきましたが、
「実際に配属してみたら社風に合わず早期離職した人」など、
内情を知らずに入社して苦労するケースを何度も見てきました。
転職後のミスマッチを防ぐには、求人票にない情報が何より重要です。
2. 面接対策や条件交渉を“プロ”に任せられる
履歴書や職務経歴書の書き方、志望動機の伝え方、面接での受け答え。
これらに不安を感じる薬剤師は多いはずです。
転職サイトでは、これらすべてに対してプロのアドバイスが受けられます。
また、年収・勤務条件・エリア希望などの言いづらい交渉も代行してくれるため、精神的な負担も軽減されます。
中小では、直接交渉により給料アップも狙えますが、エージェントに勤務条件や給与交渉などしてもらうメリットも大きいです。
エージェントと一緒に対策を練った方が、やはり印象が良い傾向にあります。
大手では、薬剤師以外の人事担当が見ることも多く、薬剤師として以前の人間性や社会人としての素養が見られます。
エージェントと一緒に対策を練った方が、印象が良い傾向にあります。
3. 転職の流れがスムーズで、スピーディに内定が決まる
転職サイトを利用すると、面倒なスケジューリングややり取りを代行してくれるため、全体の流れが非常にスムーズになります。
- 求人検索
- 履歴書・職務経歴書の提出
- 面接日程の調整
- 結果のフィードバック
- 条件交渉(勤務日・年収など)
こういった作業をすべて自分ひとりでやるのは大変ですが、エージェントを通せば短期間で効率よく内定まで進めることが可能です。
また、今の職場が嫌で、すぐに転職したい方は、自分で転職先を探したり、準備したりする手間が減る分、早く転職ができます。
はじめての転職では何をしていいのかわからないことばかりです。
新しい職場に確認して指示してもらってを期待していると採用をもらいづらいです。
スムーズな転職活動はコミュニケーションコストが少なくなり、企業側も採用を出しやすいです。
選んではいけない転職サイトの特徴とは?
「薬剤師は転職サイトを選ぶな」と言われる背景には、質の悪いサービスや担当者に当たってしまった経験がある人の存在も大きいです。
すべての転職サイトが悪いわけではありませんが、“選んではいけないサイトや担当者”には共通する特徴があります。
ここでは、登録前・登録後にチェックすべき“危険信号”を紹介します。
1. 希望と違う求人ばかりをゴリ押ししてくる
「家から30分圏内希望」と伝えているのに、「1時間以上かかるエリアの求人」を強く勧めてくる。
「土日休み希望」と伝えているのに、「シフト制で日曜出勤あり」の求人しか出てこない。
こうした”強引なゴリ押し”をしてくる担当者は要注意です。
条件に合う求人がなかった可能性もありますが、エージェントがノルマのため数を優先していた可能性があります。
いずれにしても、妥協できない条件の場合は、他のエージェントもチェックしてみましょう。
2. 対応が雑 or 返信が遅い
- LINEやメールの返信が遅い
- こちらの質問にちゃんと答えない
- 書類の提出方法などがわかりにくい
こうした対応があると、大事な選考過程でも同じように雑に扱われる可能性があります。
あなたの時間と人生を預ける相手だからこそ、誠実でレスポンスの早い担当者を選ぶべきです。
3. 担当変更の相談がしづらい or 制度がない
「なんか合わないな…」「知識が足りないかも…」と思ったとき、
遠慮せずに担当者を変更できる体制があるかは非常に重要です。
信頼できる転職サイトは、担当変更が前提で仕組まれています。
変更が言いづらくて我慢し続けるより、早めに変えてもらった方がストレスもなく、良い転職につながります。
4. 連絡がしつこい・過剰な営業トークが多い
「毎日のように電話が来る」
「何度もLINEで連絡が来て怖くなった」
こうした“過度なプッシュ営業”は、利用者にとって大きなストレスになります。
また、
- 「年収100万円アップ確実!」
- 「誰でも希望の求人が見つかります!」
- 「この求人は今すぐ応募しないと損です!」
といった過剰な営業トークや不安を煽る発言が多い担当者・サイトには注意が必要です。
本当に信頼できるエージェントは、丁寧にヒアリングし、転職のタイミングも尊重してくれます。
「早く決めさせたい」姿勢が強すぎる場合は、自分の人生より相手の数字を優先している可能性もあると考えた方がいいでしょう。
危険な転職サイトの特徴まとめ
選んではいけない転職サイト・担当の特徴をまとめました。
希望条件と違う求人をゴリ押ししてくる | ミスマッチの原因に |
---|---|
対応が遅い・返信が雑 | 大事な連絡に支障 |
担当変更ができない or 言い出しづらい | ストレス継続の恐れ |
連絡がしつこく営業トークが強引すぎる | 信頼より数字優先の姿勢 |
薬剤師が転職サイトを“上手に使う”5つのコツ
「転職サイトを選ぶな」と言われる理由には一理あります。
ですが、正しく使えば転職活動がぐっと効率的になります。
ここでは、薬剤師が後悔せずに転職サイトを活用するための具体的な5つのコツをお伝えします。
1. 希望条件と転職理由を整理しておく
転職サイトに登録する前に、以下のような項目をまとめておきましょう。
- なぜ転職したいのか?(人間関係・給与・休みなど)
- 絶対に譲れない条件は?
- 逆に妥協できる条件はあるか?
「希望がふわっとしている人」は、紹介される求人の精度も低くなりがちです。
“転職軸”を自分で言語化することが、良い提案につながる第一歩です。
とはいえ、自分で言語化するのも難しいと思います。
そんな方におすすめなのは”直接相談できる転職エージェント”です。
電話やメールではなく、直接会って相談することで自分の気持ちを整理しやすくなります。
2. 担当者には“本気度”や“時期”を明確に伝える
エージェント側も本気の人ほど力を入れてくれます。
登録後の初回面談などで、以下をしっかり伝えましょう。
- 転職したい理由
- いつ頃の入社を考えているか
- どういう環境を探しているのか
「急かされるのが嫌」と思っていても、こちらが熱意を見せれば、優先して動いてくれることが多いです。
3. 「合わない」と感じたら、すぐに担当変更を申し出る
「話がかみ合わない」
「希望と違う求人ばかり出てくる」
そんなときは、我慢せずに早めに担当変更を申し出ましょう。
信頼できる転職サイトほど、変更対応がスムーズです。
4. 複数の転職サイトを併用して比較する
1社だけでは、求人の偏りや担当者の質に左右されやすくなります。
2〜3社を併用することで、情報の幅も広がり、比較がしやすくなります。
- 面倒でも全てに初回面談を受ける
- 同じ条件を伝えて、提案の違いを見る
- 良かった方を本命として進める
転職サイトの複数登録は一般的なことなので、遠慮せず比較しましょう。
5. 内定が出ても“即決せず”、複数比較する
内定をもらうとつい安心して決めたくなりますが、
比較せずに決めてしまうと、入社後に後悔するケースもあります。
特に以下のような点は要チェックです:
- 年収や昇給制度
- 有休・休暇取得の実態
- 店舗異動の有無や頻度
- 評価制度や将来のキャリアパス
再度、転職理由と転職条件を振り返り、内定先を判断しましょう。
次は、転職サイトにどうしても抵抗がある方向けに、知人紹介(リファラル)や直接応募との違いについてご紹介します。
転職サイトに抵抗がある人は「知人紹介」も選択肢
「どうしてもエージェントに頼りたくない…」
「人に任せるより、自分で探したい」
そんな薬剤師の方にとって、知人紹介(リファラル採用)は、有力な選択肢のひとつです。
知人紹介制度とは?企業にとってもメリットがある採用方法
多くの薬局やドラッグストアでは、社員紹介制度(リファラル採用)を導入しています。
これは、現職社員が知人・友人を紹介することで、企業が採用コストを抑えられる仕組みです。
紹介者・被紹介者の双方にお祝い金が出ることもあり、企業側にも求職者側にもメリットがあります。
“紹介枠”の方が柔軟に対応してもらえることも
紹介制度を利用した場合であれば、転職がスムーズに進むケースも多いです。
- 条件交渉(勤務時間やエリア)が通りやすい
- 面接での対応が柔らかくなる
- 信頼感が前提になり、選考がスムーズ
といったメリットを受けられることもあります。
ただし情報不足や交渉失敗はすべて“自己責任”に
一方で、知人紹介にはデメリットもあります。
- 内情は知人をとおしての情報のみ
- 面接対策や書類添削などのサポートが受けられない
- 条件交渉がしづらく、あとから後悔する可能性も
特に、「〇〇さんの紹介だから…」と遠慮してしまい、条件交渉ができず不満を抱えたまま働くというケースも。
転職サイト+紹介制度の“併用”がいちばん賢い選択
紹介制度だけに頼るより、転職サイトで情報収集・比較をしてから紹介を検討するのがもっとも堅実な方法です。
たとえば、
- 希望エリアの相場年収を転職サイトで把握しておく
- 他社の条件も見たうえで「本当に紹介先が良いか」比較する
- 転職サイトで選考サポートを受けつつ、紹介制度で別ルートも確保しておく
やはり、情報収集して比較した上で、転職を決めるのがおすすめです。
転職サイトの登録は無料なので、うまく情報収集に活用しましょう。
まとめ|“選ぶな”ではなく“使いこなせ”
ここまで、「薬剤師は転職サイトを選ぶな」と言われる理由を解説してきました。
たしかに、
「連絡がしつこい」
「希望と違う求人をゴリ押しされる」
「担当者に差がある」
「紹介料で損する気がする」
こうした声があるのも事実です。
しかし、これらの多くは「使い方を間違えた」結果にすぎません。
転職サイトは、薬剤師にとって“情報と交渉の武器”
- 求人票に載らない内部情報を教えてもらえる
- 履歴書・面接対策・条件交渉を代行してもらえる
- スピーディかつ効率的に内定を獲得できる
これらは、自力の転職活動では手に入らない大きなメリットです。
また、担当者の質に差があることも事実ですが、変更制度を利用したり、複数併用することで十分カバーできます。
あなたの転職は、あなた自身が主導で選んでいい
結局のところ、転職で後悔しないために必要なのは
「この職場で本当に働きたい」
という納得と、
「そのための情報を、自分の意思で選び取る姿勢」です。
転職サイトは“使うかどうか”ではなく、「どう使いこなすか」が転職で成功するための鍵です。
転職エージェント主導で転職を進めず、転職エージェントを利用して自分で転職を考えていきましょう。
焦らず、自分の軸を大切にしながら、あなたに合った職場と出会えることを願っています。
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