稼ぐとは何か?
突然ですが、皆さんに質問です。「稼ぐとは何か?」と聞かれたら、どう答えますか? お給料をもらうこと、売上を上げること…いろいろな答えが浮かぶかもしれません。特に副業を考えている薬剤師の方なら、「どうやってもっと稼げるか?」と日々模索していることでしょう。私もその一人でした。しかし、調剤薬局という限られた職場で働く中で、この問いについて深く考えさせられる出来事がいくつもありました。
実は、職場の人間関係や仕事への向き合い方に悩んでいた頃、「稼ぐこと」の本当の意味に気づかされたのです。その鍵となったのが、「稼ぐ=人を喜ばせること」という視点でした。この言葉は、自己啓発書『夢をかなえるゾウ』に登場する象の神様ガネーシャの教えですが、私はこの価値観に出会ってから仕事や副業への向き合い方が大きく変わりました。
この記事では、調剤薬局での人間関係の難しさや、新人教育を通じて感じた意識の差、そして副業に取り組む上で大切にしたい「人のために動く」というマインドについてお話しします。薬剤師として働くあなたが共感し、明日からの行動のヒントにしていただける内容になれば幸いです。それでは、本題に入っていきましょう。
調剤薬局の人間関係と「働いてやってる」空気
調剤薬局のようにスタッフ数も限られ、顔ぶれも毎日ほぼ同じという職場では、人間関係が仕事の満足度に与える影響は大きいですよね。皆さんの職場には、「自分は働いてやっているんだ」という空気を醸し出す人はいないでしょうか? たとえば患者さんや周りのスタッフに対してどこか上から目線で、「忙しいのに色々言われて大変だよ…自分はこんなに頑張ってるのに」という不満ばかり口にする――そんな同僚がいると、職場の雰囲気も重くなってしまいます。
私の以前の職場にも、残念ながらそんな同僚がいました。彼は口癖のように「こっちは忙しいんだから、患者さんにも分かってほしいよ」などと言い、周囲にはピリピリした空気が漂っていました。確かに調剤薬局の業務は忙しいですし、患者さんから感謝されることばかりではありません。でも、「働いてやってる」という態度でいる限り、自分自身も仕事がつまらなく感じてしまうものです。実際、彼は毎日疲れ切った表情で業務をこなし、周りからもあまり信頼を得られていませんでした。
このような姿を間近で見て、私は強く感じました。お金をもらって働く以上、自分はサービスを提供する側であるということを忘れてはいけない、と。自分が「してやっている」という意識でいると、不思議なもので仕事のやりがいや達成感も薄れてしまいます。それどころか、周囲との軋轢も生みやすくなりますよね。調剤薬局はチームワークが大切な現場ですから、なおさらです。
ではどうすれば良いのでしょうか。その答えのヒントは、「誰のために働いているのか」を見つめ直すことでした。「働いてやってる」という発想を、「誰かの役に立っている」に転換するのです。次の章では、この意識の転換について、学生時代との対比から考えてみましょう。
大学生から社会人へ:“お客様”から「お金をもらう立場」への転換
大学生までの私たちは、学費を払い教育を受ける立場、いわば「お金を払ってサービスを受ける側」でした。大学の授業料を支払い、教授から教えてもらう――言ってみれば学生は「お客様」だったわけです。ところが、ひとたび社会人になり薬剤師として働き始めると、今度は「お金をもらう側」になります。ここで大きな意識転換が必要になります。
入社直後は右も左も分からず、先輩に教えてもらって当たり前とどこか思っている新人も多いです。学生時代の延長のような感覚で、「仕事を教えてもらうのは当然」という意識があります。しかし、その姿勢が抜けないままでいると、「自分は頑張っているのに認められない」「もっと教えてほしいのに」と不満ばかりが募り、仕事がおっくうになっていきます。
そんなときに、冒頭のガネーシャの言葉を考えます。『夢をかなえるゾウ』という本の中で、ガネーシャは主人公にこう諭します。
「ええか? お金いうんはな、人を喜ばせて、幸せにした分だけもらうもんや。せやからお金持ちに『なる』んは、みんなをめっちゃ喜ばせたいて思てるやつやねん。」
『夢をかなえるゾウ』【著:水野 敬也】
この言葉を初めて読んだとき、ハッとしました。今までの自分は「どうすれば自分が得できるか」ばかり考えていたことに気づかされたからです。ガネーシャが言うように、本来お金とは“人を喜ばせて、その対価としていただくもの”なのです 。裏を返せば、誰かを喜ばせたり役立てたりしなければ、お金は生まれないということですよね。
よく考えてみれば、私たち薬剤師の給料だって、患者さんに提供するサービス(調剤や服薬指導など)に対する対価として、薬局を通じて支払われているものです。大学時代はお客様でしたが、今は人に価値を提供する立場なのだ――当たり前のことのようですが、この事実に改めて気づいたとき、自分の中で何かが変わり始めました。「稼ぐ=人を喜ばせること」という価値観が腹落ちした瞬間でした。
それ以来、目の前の患者さんや一緒に働くスタッフのために「自分に何ができるか?」を意識するようになりました。では、この意識の差が実際の成長にどう影響するのか? 次は、私が新人薬剤師を指導する中で感じた“成長の分かれ道”についてお話しします。
新人指導で見えた意識の差が生む成長の分かれ道
ドラッグストアで薬剤師として働いて数年が経った頃、新人スタッフの教育を任される機会がありました。新人の教育係をしていると、仕事への意識の違いがその後の成長スピードに大きく影響することを痛感します。
具体的には、教えたこと以上のことを自分から学び取ろうとする新人と、与えられたことだけをこなす新人で明確に差がつくのです。たとえば、処方箋の監査手順を一通り教えた後のこと。ある新人Aさんは、教えられた通りにこなすだけでなく、「先輩、この処方、飲み合わせは大丈夫でしょうか?」「もっと効率よく監査するコツはありますか?」と自発的に質問してきました。患者さんにも笑顔で積極的に声をかけ、わからないことがあれば自分で調べてみる姿勢がありました。
一方で、新人Bさんは与えられた作業は真面目にこなすものの、自分から疑問を持ったり深掘りしたりすることがあまりありませんでした。言われたことはきっちりやるのですが、裏を返せば言われたことしかやらないタイプです。患者さん対応でも、聞かれたことに答えるだけで精一杯という様子でした。
数ヶ月もすると、両者の成長スピードには歴然とした差が出ました。Aさんは処方意図を考えながら監査できるようになり、患者さんからの信頼も得ていました。Bさんはミスなく業務はこなすものの、新しい業務に挑戦する際には常に細かな指示が必要でした。決して能力に大きな差があったわけではありません。違いを生んだのは、「誰かの役に立ちたい」「もっと学びたい」という意識の差だったのです。
この経験からも、「自分のため」に働くか「人のため」に働くかで、成長の分岐点が決まると感じます。Aさんは患者さんの役に立とう、早く一人前になって周囲を助けようという思いが原動力になっていました。だからこそ成長も早かったのでしょう。一方のBさんは、「言われたことをミスなくやる」ことが目的になってしまい、自分から殻を破る機会を逃していたのかもしれません。
新人教育の場面に限らず、私自身も「人のために動くこと」の大切さを実感しています。そしてそれは、薬剤師という仕事そのものにも当てはまることです。
人のために働くことは自分を犠牲にしろという意味ではありません。自己犠牲と他者貢献は別の
次章では、専門職である薬剤師が単なる作業者になってしまわないために、意識しておきたいポイントについて考えてみます。
薬剤師という専門職、作業と化していないか?~仕事への警鐘~
調剤薬局での業務はどうしてもルーチンワークが多くなりがちです。毎日同じような処方箋を扱い、ピッキングして監査し、患者さんに投薬指導をする…確かに繰り返しの作業が中心ですよね。忙しく働いているうちに、「自分は毎日何をやっているんだろう」「このまま歳をとっていくのかな」とふと感じることもあるかもしれません。
事実、調剤薬局で働く多くの薬剤師が、一度はそんな虚しさを感じたことがあるのではないでしょうか。私の周りでも、ルーチン業務に追われるなかで「この仕事は誰の役に立っているのか?」と悩む薬剤師の声をよく耳にします。
単調な業務でも“自分の役割”を見出せないと、やりがいを感じにくくなるのは確かです。忙しさとは別の次元で、やりがいを見失ってしまうんですね。
私自身、薬剤師2年目の頃にそれを痛感しました。最初の1年は新しい知識を身につけることで精一杯でしたが、仕事に慣れてルーチン化してくると、「この先もずっとこの繰り返しなのか…」と漠然とした不安を覚えたのです。そんな時期に転機が訪れました。ある常連の患者さんから、「いつも丁寧に説明してくれてありがとう。あなたがいると安心して薬をもらえるわ」と笑顔で感謝されたのです。私はハッとしました。毎日の業務も、目の前の誰かの役に立っていたんだ、と実感できた瞬間でした。
この出来事以来、調剤という一見同じ繰り返しの作業にも、「この一包で患者さんの症状が楽になるかもしれない」「自分の説明で不安が和らぐかもしれない」と思えるようになりました。同じ仕事でも、捉え方ひとつでやりがいや充実感は大きく変わります。先工夫次第で患者さんに感謝され、やりがいある仕事に変えられます。
一方で、もし私たち薬剤師が「言われたことだけやっていればそれでいい」と考えてしまったらどうでしょうか。専門知識を活かす機会も減り、周囲からも「この人じゃなくてもいいよね」なんて思われてしまうかもしれません。それはプロフェッショナルとして非常にもったいないことですし、何より自分自身がつらくなってしまいますよね。
だからこそ、自戒も込めて「作業者」になり下がらないようにしたいものです。薬剤師は本来、患者さんの健康をサポートする専門家です。ただ薬を渡すだけでなく、「この患者さんにはどんなケアができるだろう?」と常に考える。その積み重ねが、自分の仕事を単なる作業から価値あるサービスへと昇華させてくれるはずです。
副業でも問われる「相手に価値を届ける」意識
ここまで、主に本業である薬剤師の仕事を通じて、「人のために動く」ことの大切さを見てきました。このマインドは、そのまま副業にも当てはまります。むしろ、副業で成功するためには一層重要と言っても過言ではありません。
副業を始める目的は人それぞれでしょう。収入を増やしたい、自分の可能性を広げたい、趣味を活かしたい…私も初めは「収入を増やしたい」という思いで色々な副業に挑戦しました。YouTubeでリサーチし、せどり(転売)、アフィリエイト、動画編集、プログラミングなど手当たり次第試してみたんです。しかし正直に言って、最初は「どうやったら楽に稼げるか」ばかり考えてしまい、どの副業もうまく軌道に乗りませんでした。
振り返れば当然の結果でした。自分のことしか考えていない状態で、人に価値を提供できるはずがなかったのです。例えば、ブログで稼ごうとしても「自分が楽して儲けたい」という視点では、読者が本当に知りたい情報や役立つ内容を書くことはできません。動画編集にしても、「自分が稼げる案件」を探すだけでは、クライアントが求めるクオリティを提供できませんでした。
では、どうすれば良かったのか。それはやはり発想を転換して、「相手に価値を届けるにはどうすればいいか?」と考えることでした。幸いなことに、私の場合はプログラミング学習を通して「まず相手に貢献する」ことの大切さに気づき始め、最終的には薬剤師の知識を活かせるWebライターという副業に出会いました。文章を書くこと自体は大変でしたが、「薬剤師としての知識や経験を発信すれば誰かの役に立てるかもしれない」と思うと不思議と頑張れたのです。その結果、読者の共感を得る記事が増え、収入にもつながっていきました。
副業であっても、結局は誰かが価値を感じてくれるからこそ対価が生まれるのだと実感します。では具体的に「価値を届ける」とはどういうことでしょうか? 副業の種類にもよりますが、共通して意識できるポイントをいくつか挙げてみます。
- 相手のニーズを考える: 提供しようとしている商品やサービス(記事でも動画でも)は、相手のどんな悩みやニーズを解決できるか意識しましょう。
- 自分の強みを活かす: 薬剤師としての専門知識や経験など、自分だからこそ提供できる価値は何かを考え、それを前面に出してみましょう。
- フィードバックを糧にする: 相手からの反応を大切に。読者や顧客の声を聞き、より喜んでもらえるよう改善を重ねる姿勢が大事です。
私自身、ブログの記事に読者からコメントをいただいたり、SNSで「役に立った」と言ってもらえたりする度に、「よし、もっとがんばろう!」と励まされています。副業は本業と違って強制力がない分、自分との戦いでもありますが、だからこそ相手からの感謝や反応が何よりの原動力になります。
まとめ:副業成功のカギは「自分のため」ではなく「人のため」に働けるか
最後に、改めてこの記事のテーマを振り返ってみましょう。稼ぐとは何か? 答えの一つは、「誰かを喜ばせ、その対価をいただくこと」でした。自分のためだけでなく、人のために動ける人こそが、結果的に自分の成功(稼ぎ)も手にしているのです。
副業においてもこれは例外ではありません。目先の自分の利益だけを追うのではなく、「この仕事は誰の何に役立つのか?」と問い続けることが、遠回りに見えて実は一番の近道です。薬剤師という専門性を持つ私たちだからこそ提供できる価値がきっとあります。それを必要とする誰かのために行動できたとき、収入は後からついてくるものです。
「自分のため」だけではなく「人のために働けるか」
――この意識こそが、副業成功の分岐点だと私は確信しています。ぜひ皆さんも、目の前の人を喜ばせることを意識しながら、本業・副業に取り組んでみてください。その先には、きっと今まで以上のやりがいや成果が待っているはずです。
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上述の『夢をかなえるゾウ』【著:水野 敬也】は、物語ベースの自己啓発本でとても読みやすい本です。シリーズをとおしておすすめの本なのでぜひ興味があれば読んでみてください。
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