「国家試験さえ通れば“薬のプロ”として患者さんのために働けるはずだったのに――」
現実は保険点数・加算ルール・OTC接客・レセ入力…、教科書にはなかった仕事に追われて毎日ヘトヘト。
周りに質問できる空気もなく、“辞めたい”が頭をよぎるたびに自己嫌悪――
実は新人薬剤師の大半が同じ壁にぶつかっています。
ファルマスタッフがまとめた新人の悩み事例でも、
- 「学んだ内容と現場が違いすぎて戸惑う」
- 「疑義照会や服薬指導が怖い」
- 「調剤室の人間関係になじめない」
といった声が数多く挙がっています。(参考:ファルマスタッフ)
ドラッグストアで多くの新人を見てきた現役リーダーの私も、
「1年目でつらいと感じない人のほうが珍しい」ことを痛感しています。
――でも、ここで踏みとどまり、悩みと向き合えた新人は3年後、頼られる存在になることも事実です。
そこで本記事では、
- 新人薬剤師がつらいと感じる“8つの理由”を具体例つきで整理
- リーダー目線で見えてきた「辞める新人」と「伸びる新人」の違い
- 今すぐ試せる乗り越えステップ&判断チェックリスト
- もし環境を変えたくなったときの無料キャリア相談ガイド
――を順に解説します。
まずは、自分のつらさが“あなただけのものではない”ことを確認するところから始めましょう。読み終わる頃には、目の前の霧が少し晴れているはずです。
「もう限界…」と感じたら、読み進めながらでも構いません。
1分で登録できる無料エージェント(ファルマスタッフ)に悩みを打ち明け、
“社外メンター”をつくってしまうのも有効な手段です。
「やめたい」が口癖なのに、
リーダーに出世した現役DgS薬剤師
- 現役ドラッグストア薬剤師
- 複数店舗を担当するエリアリーダー
- 中小調剤薬局グループで経営者の修行中
ドラッグストア薬剤師の
リアルな働き方や
採用する側の視点をふまえて
転職について発信しています。

新人薬剤師が「つらい」と感じる8つの理由
① 大学で学んだ内容と現場が違いすぎる
国家試験で必死に勉強したのに、現場で求めれるのは習っていないことも多いです。
- 一般名と商品名(GEが普及して少し楽になりました)
- 加算
- 調剤業務以外の商品販売
- 関連法規
まだまだたくさんあるでしょう。
知識より“臨床の知”が求められるギャップに、新人薬剤師の多くが戸惑います。
② 保険点数・レセ業務が想像以上に複雑
調剤報酬は2年ごとに改定され、加算の要件も毎回マイナーチェンジ。
算定ミスは減算・返戻に直結するためので薬局にも患者さんにも迷惑をかけてしまいます。
保険とレセプト請求を同時に覚えるのはとても大変です。
(参考:m3.com 薬剤師)
なおかつ、この保険やレセプトについては地域差があります。
治療上問題がなくても、保険上必要な疑義紹介を行うことがあります。
地域の支払い基金や厚生局によって判断が異なることがあるため、
実習先と違う県だったり、異動が多かったりすると戸惑うことが多いです。
これは薬剤師歴が10年を超えても悩み続けるポイントです。
③ ドラッグストア調剤は“マルチタスク地獄”
処方せん調剤の合間に OTC 販売、在庫発注、健康相談まで発生
——とにかくやることが多くて時間が足りない。
定型化されていない業務に追われ、学習サイクルも回りづらいのが実情です。
入社後すぐに配属されることはないですが、事務さんのいない店舗に配属されると、
すべて自分でやることになります。
実力は上がりますが、マルチタスクが苦手な方には苦痛です。
④ 調剤室の“静かな人間関係”にメンタルを削られる
調剤室は基本無言。先輩に話しかけるタイミングがつかめず質問できないまま自己流で進めて叱られる
——負のループに陥る新人が後を絶ちません。コミュニケーション不全は悩みの筆頭です。
調剤室は限られた空間なので人間関係は大きな問題です。
ドラッグストアや大手調剤は異動の可能性がありますが、中小はやめるまでその関係が続きます。
その場合は早めに転職がおすすめです。
人間関係の悩みはなかなか解決しません。1年目だからこそ、早めに転職を検討しましょう。
⑤ 配属ガチャで頼れる先輩がいない
「新人なのに会社一忙しい店舗に配属された」
「他店応援ばかりで指導係が不在」
——初期配置で孤立し、心身を削るケースが目立ちます。
勤務地が地元から遠いと、相談相手がゼロになることも。
参考:Yahoo!知恵袋
ドラッグストアや大手調剤ではある程度教育制度が整備されているので順を追って覚えていけますが、上司・配属先ガチャもあります。
教えてもらう時間が取れない店舗になると、ひたすら投薬など仕事を覚える時間が取れないこともあります。
私は現場リーダーとして、エリア内の異動を考えています。
新人は異動させやすいです。まだ、役割をもっていないからです。
配属を決定するタイミングである程度の指導力がある店舗を選んでいますが、人間関係などで支障がある場合には異動検討します。
相談する際にはポジティブな理由も用意しておくのがおすすめです。
基本的に新人は将来性があるため大切に育てたいと考えています。
なかでも「もっといろいろな業務がしてみたい」などと言ってくれる新人は、辞められたくないのでなんとかしようと考えます。
⑥ 「ミスが命にかかわる」プレッシャー
新人薬剤師の悩みでも多いのが「ミスが怖い」。
ピッキング・鑑査・疑義照会など薬剤師の仕事はミスが患者安全に直結するため、常に緊張が抜けません。
ミスへのプレッシャーはずっと続きますが、新人時代のプレッシャーは大きいです。
わからないなかで作業するのは不安です。
リーダーとして働く私もはじめて調剤する薬は不安です。
そのために今でも勉強を続け、わからないことは相談します。
知識や仕事の慣れが「ミスへのプレッシャー」をやわらげてくれます。
最初はみんな不安です。ただ、不安が自分を成長させ薬剤師として成長していきます。
プレッシャーをうまく活かしていきましょう。
⑦ 「こんなはずじゃ…」リアリティショック
先行研究によれば7割の新人薬剤師が入社1年以内に“期待と現実のギャップ”でショックを受けるといいます。
参考:https://kuroyaku.tokyo/reality-shock-encountered-by-new-pharmacists/
これは、大学生から社会人になるフェーズでは多くの方が感じるギャップです。
大学生まではお金を払いサービスを受ける側ですが、社会人はお金をもらい会社や顧客にサービスを提供する側です。
リーダーをしていると、よく「仕事を教えてもらえない」と話す新人の方がいます。
厳しい話ですが、新人が教えて欲しいことを会社が教える必要はありません。
極端にいうと、会社としては教えたいことだけを教えて、やって欲しいことだけをさせればいいのです。
ただ、薬剤師としてのスキルが上がることにメリットがあるため、教育制度を充実させ、教育係をつけて教えています。
新人に関しては将来性への投資の側面が強いです。
「こんなはずではなかった」とショックをうけることは、社会人としての考え方に気づき人として成長する機会だと思います。
⑧ 将来キャリアが見えず不安
「このまま調剤だけで10年後食べていけるのか」
「在宅・病院・企業…自分に何が向いているのか不明」
——キャリアの見通しのなさは新人の隠れたストレスとなります。
情報過多のネット検索で余計に迷子になることも珍しくありません。
先輩や上司があなたの10年後の姿となる可能性が高いです。
その姿に不安を感じるのであれば、会社以外の方に相談をするのがおすすめです。
相談できる知り合いがいなければ、転職エージェントに相談してみましょう。
キャリアプランについても相談に乗ってくれます。(転職を考えていてと相談するのがおすすめです)
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リーダーが見てきた「辞める新人」と「伸びる新人」の違い
①相談量=成長速度
多くの新人が「忙しそうで聞けない」「迷惑をかけそう」と質問を飲み込みます。
しかし、質問回数が多い新人ほど、処方監査の習熟が早くヒヤリハットも少ないというデータがあります。
米国の病院薬局で行われた標準化オンボーディング施策では、メンターへの質問機会を週2回以上確保したことで新人の離職率が 13%改善しました。
参考:https://www.pharmacytimes.com/view/standardized-onboarding-reduces-turnover-of-pharmacy-technicians?utm_source=chatgpt.com
質問することは勇気がいると思います。
ただ、人は基本的に誰かに教えることには喜びを感じます。
質問の聞き方に気を使い、教えてもらったあとの反応をしっかりすれば、先輩も教えてくれるはずです。
社会人になったら教えてもらうことは、当然ではありません。
そのことを理解した上で先輩に質問すれば、きっと教えてくれます。
私は、たくさん質問してくれる子はやる気があるんだなと思います。
ただ、質問内容が調べたらすぐわかることや、答えてもメモを取らず何度も同じ質問をされたときなどは、「学校の先生ではないんだけどな、、、」と思います。
そんなことをいうと質問しづらくなるかもしれません。
基本的に、ミスをするくらいなら聞いて欲しいというのが率直な気持ちです。
自分の成長のためにも、新人であっても、「自分はお金をもらっているプロ」という意識はもって働いて欲しいです。
その意識があれば大きく間違った質問の仕方をすることはないと思うので、どんどん質問して成長してください。
②小さな成功体験を自分で拾えるか
「今日は薬歴を5件時間内に書けた」
「患者さんに“ありがとう”と言われた」
——こうした小さな達成を意識的に積み重ねる習慣が、自己効力感(=自分はやれるという感覚)を育てます。
メンタリング研究でも、週1回の“リフレクション+成功体験共有”がバーンアウト防止に有効と報告されています。
参考:PubMed Central(https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11859274/?utm_source=chatgpt.com)
入社したてのころはだれも何もできません。
そのなかですこしずつできることを積み上げて、できるようになってきます。
私の3年目の部下の方に「どうやったら自信がつきますか?」と相談されたことがあります。
リーダーになった今でも私はすべての業務のに自信があるわけではありません。
新しい薬を調剤するのは今でも不安だし、
複数の部下の前で話をするときは緊張するし、
クレームを貰えばもっとうまくできたんじゃないかと反省します。
どんな仕事もずっと何かしら不安を感じて仕事はしていきます。
でも、できるようになったこともあります。
それは、新人のころにはできなかったことです。
小さなことを少しずつ繰り返してできるようになり、人に褒められ、認めれられ自信がつきます。
いま、自信がなかったり、不安なのは新しいことに挑戦しているからです。
できなかったことができるようになる。新しいことに挑戦する。
これは人生に楽しさを感じる瞬間です。
今は辛いかもしれませんが、それは頑張っている証拠です。
きっと薬剤師の楽しさを感じられるときが来ます。
③ “辞めどき”を戦略的に考えられるか
伸びる新人ほど「●月までに◯◯を身につけて、ダメなら異動(or 転職)を検討」とタイムラインと出口戦略をセットで描きます。
逆に辞める新人は、感情がピークに達した日に衝動的に相談をされます。
正直、リーダーとしては衝動的にも相談してもらったほうが、対応できます。
よく「優秀な人ほどやめていく」なんて言いますが、自分の将来を考えて計画的に行動できる人はこちらの対応のほうが遅くなってしまいます。
逆にダメなら次という思考も成功の秘訣かと思います。
自分の”影響の輪”の届かない範囲はどうすることもできません。
よく会社の文句や国の制度の文句を言っている方がいますが、会社のルールや国の制度は自分ではどうしようもありません。(少なくとも時間や労力がかかる)
「伸びる新人」は自分にできることの範囲内でできることを考えています。
自分のできることをやってダメなら早めの転職がおすすめです。
報われない場所で自分をすり減らす前に辞めてしまいましょう。
キャリア面談や転職エージェントとの情報交換を“保険”として早期に始めているかが分かれ道です。
つらさを乗り越える5ステップ ─ 今日からできる“処方箋”
Step 1 悩みを“言語化”して棚卸しする
- ノートやスマホのメモに 「困った出来事/原因と思うこと/感情」 を3行で書き出す。
- アウトプット=客観視 となり、漠然としたモヤモヤを「対処可能な課題」に変換できる。
まずは頭のモヤモヤを一度紙に出してみましょう。
毎日悩んでいると思いますが、意外と同じことで悩み続けているかもしれません。
”メタ認知”など最近聞いたことがあることがあるかと思います。
紙に書き出すことにより客観的に悩みを分析することができます。
また、一度気持ちを吐き出すことにより、少しすっきりできます。
人に相談するよりも簡単にできるので、まずはやってみましょう。
Step 2 “社内外メンター”を1人ずつ確保する
- 社内:話しかけやすい先輩
- 社外:転職エージェントや同期コミュニティなど
- 2系統のフィードバックで偏りを防ぎ、プレッシャーを分散できる。
社内だけでなく社外にもコミュニティを持つのがポイントです。
会社だけだと判断軸もその会社の考え方になってしまいます。
薬剤師でも、それ以外でもいいので相談できる人を作りましょう。
社会人になると受動的に新しいつながりを持つのは難しくなっていきます。
社会的なつながりを自分で作る習慣は人生を豊かにします。
まだ、相談できる相手がいないという方は転職エージェントでも大丈夫です。
自分の悩みを聞いてくれる人がいる、客観的な意見がもらえることは貴重です。
無料なので登録だけでもしてみてください。
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Step 3 1日1つ“スモールゴール”を設定
- 例)「今日は薬歴コメントを3分以内で簡潔に」「加算を1件取る」
- 達成したら “自分を褒める”(メモを付ける・同期に報告する等)を忘れない。
- 成功体験の蓄積が自己肯定感を高める。
自分のモチベーションをコントロールするのも一つの技術です。
自分は何もできないんだと思うと自分から仕事もしづらくなり、悪循環となってしまいます。
小さなことでいいので一つずつ目標を達成していきましょう。
社会は意外と普通のことができない人も多いです。
小学生のころ「遅刻しないようにしましょう」「挨拶をしましょう」「宿題をしましょう」とか先生にいわれたと思います。
意外と社会人には、この簡単なことができない人が多いです。
逆に言えば、この小学生でもできることをやり続けることが難しく、できるだけで評価されます。
信頼は当たり前の積み重ねです。
毎日少しでいいので積み重ねて欲しいです。
Step 4 加算・制度は“トップ3”から攻略
- 調剤報酬の全加算を一気に覚えようとせず、まず 頻出トップ3(調剤管理料/服薬管理指導料/医療DX加算 など)に集中。
- 1項目マスターごとに同僚にレクチャーすると “教える→定着” 効果で知識が深まる。
Step 5 「環境を変える選択肢」を常に持つ
- どうしても改善が見込めない場合は 異動・転職・派遣 など環境リセットを検討。
- その際、無料の転職エージェントを“キャリアの健康診断”感覚で活用すると視野が広がる。
- 相談だけでも履歴書添削や求人動向を知ることができ、現職を続ける判断材料にもなる。
選択肢を持つことで人は余裕が生まれます。
実際にいつでも転職できる余裕があることにより、今の仕事にも好影響を与えます。
自分のできる範囲のことにフォーカスし、ラインを決めておく。
ラインを超えたら転職する。
そういった方は転職のたびにキャリアアップしていく印象です。
転職が成功しやすい人の特徴といえます。
辞めたいと感じたときの“判断チェックリスト”
「もう限界かもしれない――」
そう感じたときに、勢いで退職届を書く前に立ち止まってみてください。
以下の 5 項目に ✓ を付けながら現状を整理すると、
「続ける・異動する・転職する」 のどれが自分にベストかが見えやすくなります。
- [ ] 心身の SOS
2 週間以上つづく睡眠障害・食欲低下・出勤前の腹痛/吐き気 - [ ] 相談相手がいない
上司・先輩・同期の誰にも“本音”を話せない - [ ] 学びがない
仕事が完全に作業化し、1 日に新しい気づきが 0 件 - [ ] 評価・処遇の停滞
異動希望や働き方改善の要望を出しても半年以上動きなし - [ ] キャリア情報不足
辞めたあとに選べる職場/年収相場を把握していない
- ①が該当する場合は最優先で休職・時短など“心身の安全確保”から着手。
- ②③④が重複しているなら「社外メンター=転職エージェント」に現状を共有すると選択肢が一気に広がる。
- ⑤だけ該当するケースは“情報不足型不安”です。市場相場を知ると「あと1年は武器を磨こう」と前向きに残留する新人も多いです。
💡 チェックリストで 2 つ以上当てはまったら、
まずはプロに相談してみましょう。
- 匿名OK・1分で登録完了
- 新人向けの非公開求人が豊富
- 履歴書なしで年収相場を診断
まとめ ─ つらさは“成長痛”、でも無理は禁物
- 新人薬剤師がつらい 8 つの理由 を知り、位置づけを客観視する
- 相談量=成長速度──声を上げる仕組みを自分でつくる
- 5 ステップでスモールゴールを積み上げ、自己肯定感を回復
- それでも苦しいときは、チェックリストで状況を整理 → キャリア相談で外の選択肢を把握してみる
あなたが感じている不安は、決して “あなただけ” のものではありません。
今日できる最小の行動を 1 つ選び、ぜひ試してみてください。


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