ドラッグストア薬剤師のキャリアプランは？現役リーダーが出世コースを実体験から解説

「薬剤師としてドラッグストアに就職したけど、この先どうなるの？」
「薬剤師としての仕事に慣れてきたけど、ほかの仕事もしてみたい」
「出世して給料アップしたいけど、どんな道がある？」

──そんな疑問を感じたことはありませんか？

私は現役のドラッグストア調剤リーダーとして、数多くの薬剤師のキャリアを見てきました。

この記事では、ドラッグストア薬剤師のキャリアパス・出世の流れ・それぞれの向き不向きまで、リアルな視点で解説します。

ドラッグストア薬剤師の基本キャリアパスとは？

ドラッグストア薬剤師の一般的なキャリアプランを紹介します。

よくあるキャリアの流れ

本社勤務（教育担当・採用・経営企画など）

ドラッグストアは調剤部門以外にも多くの部署があります。

そのため、希望によっては薬剤師以外の経験を積むことができます。

基本的には、希望や適性をみて配属になります。
そのため、日々「どんな仕事がしてみたい」などを
上司にアピールしておく必要があります。

会社によっては、社内で募集があったり
希望者に対して研修など
チャンスが与えられています。

企業によって違いはある？

企業の規模や薬剤師に求める仕事によって
役職の差やなりやすさは異なります。

転職でキャリアアップを狙うなら、
転職エージェントを活用して
自分のキャリアプランに近い企業を選びましょう。

転職エージェントの相談は無料なので、
キャリアプランが気になる方は
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転職してすぐ管理職になれる？

結論から言うと、転職後すぐに管理職になるのは難しいのが現実です。

たとえ前職で管理薬剤師やマネジメント経験があったとしても、
新しい会社のルールや人間関係、オペレーションに慣れるには時間がかかります。

複数店舗で“様子見”されるのが一般的

多くの企業では、転職直後にいきなり管理職を任せることはせず、
複数薬剤師の店舗に一時的に配属して適性や勤務態度を見極めます。

この期間に評価され、
問題がなければ管理薬剤師のポジションに登用されるケースが多いです。

管理職へのステップアップの例

私の経験上、以下のようなステップを踏んで
リーダーやスーパーバイザー（SV）職に就くケースが一般的です。
（エリアの状況によっても異なります）

このように、段階的にステップアップしていくのが一般的な流れです。

転職時点で実績がある人はどうなる？

転職時に明確な実績がある場合、

たとえば
「前職でエリア管理を任されていた」
「多店舗の立ち上げに携わっていた」
といった経験があると、
複数店舗経験後にいきなり基幹店の管理薬剤師や複数店舗の統括役として
起用されるケースもあります。

ただし、大手ドラッグストアでは
昇格には“試験”がある企業がほとんどです。

ドラッグストアなどの大手企業では、
昇格・昇進には社内試験や評価面談が必須となります。

どれだけ業績が良くても、
試験に合格しなければリーダーやSV職に就くことはできません。

裏を返せば、「昇進したい」という強い意志と準備があれば、
誰でもチャンスがある環境でもあります。

出世に向いている薬剤師の特徴とは？

出世するにはある程度適性をみられます。

薬剤師として出世に向いている特徴を紹介します。

プレイヤー力よりマネジメント力

出世を目指す上で求められるのは、
薬剤師としてのスキル（＝プレイヤー力）だけではありません。

むしろ重要なのは、人・モノ・お金を動かす“マネジメント力”です。

売上・人件費管理の知識

「薬剤師＝医療職」という意識が強いと軽視されがちですが、
ドラッグストアでは売上・利益の責任も管理職の重要な仕事です。

• 加算などの技術料をいかに伸ばすか
• 人件費率を抑えるにはどうシフトを組むか
• 在宅やOTCの提案でどのように売上をつくるか

こうした“数字”を意識して動ける薬剤師は、
昇進のスピードも早い傾向にあります。

人材育成・教育力

1人で業務ができるだけでなく、周囲を育てる力も問われます。

後輩指導、事務との連携、チーム内のコミュニケーション──

薬剤師同士の距離が近い職場ほど、こうしたソフトスキルが評価されやすくなります。

店舗運営力

薬局は医療機関であると同時に、“接客業”でもあります。

在庫が切れている、棚が乱れている、販促物が貼られていない──

こうした店舗の乱れを放置せず、
細部に気を配れる人は管理職としても信頼されやすいです。

とくに、ドラッグストアでは調剤だけでなく、
物販との連携は視座の高い人材として評価されます。

実際に見てきた“出世する人”の共通点

私自身、現役のリーダーとして多くの薬剤師を見てきました。

その中で、出世する人にはいくつかの明確な共通点があります。

指示待ちでなく提案できる

与えられた業務をこなすだけでなく、
「こうしたらもっと良くなるのでは？」
と自発的に改善提案できる人は、どの会社でも重宝されます。

給料をもらっている以上、
仕事を”もらう”という受け身の姿勢ではなく
会社にメリットを”与える”という姿勢でいると
日々の働きや発言の時点で評価が高くなります。

現場を回すバランス感覚がある

売上・人材・患者対応…
どれか一つだけに偏らず、
バランスよく視野を持てる人は評価されやすいです。

スタッフ全員の動きを見て調整する力は、
リーダー職に不可欠です。

また、一時的に大きな数字を作ることはできても、
長期的に安定して数字を作るには
全体をコントロールする必要があります。

「全体を見る力」がある

患者さんの安全、スタッフの動き、事務作業の進捗、バックヤードの在庫状況……

管理職は常に「全体を見て判断する力」が求められます。

細かい作業に集中しすぎて
“周りが見えない”タイプの人は、
出世にやや不向きです。

また、一時的に大きな数字を作ることはできても、
長期的に安定して数字を作るには
自分だけではなく
全体をコントロールする必要があります。

作業量が圧倒的

薬剤師業界は閉鎖的なコミュニティーです。
調剤報酬に守られているため、内部の競争力が働きづらいです。

そのため、ある程度の働き方で安定して稼げるという職種といえます。

しかし、出世する人はアグレッシブに仕事をこなしています。
出世している人の多くは「行動量」が多いです。

他人が1つ作業をしている間に2つ3つと動ける人は、
信頼でき、仕事を任せやすいです。
そのため、自然とチャンスが巡ってきます。

薬剤師業界では、
この「圧倒的な作業量」だけでも出世できる可能性が高いです。

出世コースのメリット・デメリット

ドラッグストア薬剤師として出世を目指すことには、
収入面やキャリアの幅など多くのメリットがあります。

一方で、責任やプレッシャーといったデメリットも無視できません。

ここでは、出世コースに進んだ際の“リアル”を整理しておきましょう。

出世コースのメリット

まずはメリットから解説していきます。

年収アップ（例：マネージャー→年収1000万以上も）

大手ドラッグストはある程度評価による昇給が決まっています。
そのため、将来の年収や転職後の年収がシミュレーションしやすいです。
もちろん出世によって、年収は確実に上がります。

一般的な年収と私の経験から年収推移をみてみましょう。
（会社名は伏せます）

企業や地域、役割の広さによって差はありますが、
収入面での安定・向上を実感しやすいのが出世の大きな魅力です。

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出世以外で、薬剤師の年収を上げるための方法を
紹介した記事もあるので参考にしてみてください。

自由裁量が広がる

リーダー職以上になると、ただ目の前の仕事をこなすだけでなく、
「どうしたらチームがうまく動くか」
「新人をどう育てるか」
といった戦略的な視点が求められます。

この裁量の広さが「仕事のやりがい」につながり、
モチベーションアップにもつながります。

筆者は、調剤業務自体が同じことの繰り返しで
飽きを感じていました。

リーダー職になり、
複数店舗ごとに強みを活かして
戦略を考えることが楽しくやりがいを感じます。

キャリアの幅が広がる（本部異動など）

出世コースを歩むことで、
将来的には本社勤務（教育・採用・薬事・企画）への道も見えてきます。

現場経験＋マネジメント経験は、企業内でも希少な存在です。

「現場から一歩引いた仕事をしたい」と思ったときにも、
選択肢があることは強みになります。

また、基本的に現場しか知らない状況だと、
本部業務という全店に影響を及ぼす仕事任せづらいという
判断もあります。

出世コースのデメリット

次に出世することのデメリットをみていきましょう。

責任とストレスが重くなる

出世すると、現場の問題や人間関係の矢面に立つ立場になります。

• スタッフの退職・ミスへの対応
• シフト・人件費の圧縮指示
• 売上目標へのプレッシャー

こうした責任は、やりがいと表裏一体です。

「自分だけの仕事に集中したい」と感じる人にとっては、
ストレスに感じる場面も多いでしょう。

異動や転勤が避けられないケースも

リーダー・マネージャークラスになると、
人事異動の対象範囲が広がることも多くなります。

• 新店オープンの立ち上げ
• 問題店舗の立て直し
• 人手不足エリアへの応援

本人の希望を尊重する会社もありますが、
柔軟な働き方が難しくなるリスクは頭に入れておく必要があります。

調剤業務から離れる可能性も

昇進するほど「人を見る」仕事が中心となり、
プレイヤーとしての薬剤師業務に関わる機会が減ることがあります。

「患者さんの対応を続けたい」
という気持ちが強い人にとっては、
出世がかえって不満につながる可能性もあります。

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このように、出世には魅力もあれば覚悟も必要です。

どちらを重視するかは、自分の価値観とライフプラン次第となります。

薬剤師として出世以外の道もある

「出世コースに進まないと将来が不安」

「出世は自分には向いていない」

実際には、出世しない選択をしても、
薬剤師として安定した働き方や
やりがいある人生を築くことは十分に可能です。

ここでは、あえて出世を目指さないキャリアパスをご紹介します。

あえて「出世しない」キャリアもあり

薬剤師は出世以外の
働き方の選択肢が多いのも特徴です。

専門薬剤師としてスキル特化

在宅、専門薬剤師、漢方、スポーツファーマシストなど──

ひとつの分野を突き詰めて、専門性で勝負する薬剤師もいます。

出世やマネジメントには興味がなくても、
「患者さんから指名される薬剤師」
「医師から相談される存在」
になることは十分可能です。

薬剤師として患者さんの健康を守ることを突き詰めていくことで
やりがいを追求できます。

パートや週3勤務でワークライフバランス重視

結婚・出産・育児・介護など、
ライフステージの変化に応じて、
“出世しない働き方”を選ぶ人も増えています。

週3日勤務、短時間パート、土日休みなどを選べば、
「自分や家族の時間を大切にしながら働く」
という価値観を実現できます。

これは決して“キャリアの妥協”ではなく、人生の最適化です。

ドラッグストアでも派遣やパートの働き方を選べます。

派遣ならファルマスタッフがおすすめです。
日本調剤が運営しているため、
しっかりと派遣先と交渉してくれます。

副業や独立を視野に入れる

近年では、薬剤師の安定した収入をベースにしつつ
副業や独立を目指す働き方も広がっています。

出世を目指さなくても、
「収入」「やりがい」「自由度」
をバランスよく得る方法はたくさんあります。

出世すべきか迷ったときに考えるべき3つの視点

出世にはメリットもある一方で、負担も大きくなります。

そのため、
「自分は出世したいのか？」を
一度立ち止まって考えることが重要です。

①今の仕事に「やりがい」を感じているか？

• 現場での患者対応が好き
• 処方箋を読むのが楽しい
• 接客にやりがいを感じる

こうしたプレイヤーとしてのやりがいが強ければ、
無理に出世を目指す必要はありません。

マネジメントや社内調整にストレスを感じるタイプの方は、
現場に特化した道のほうが満足度が高くなることもあります。

②収入・家族・将来像とのバランスは取れているか？

• 年収は今のままで十分なのか？
• 子育てや介護との両立は可能か？
• 地元や特定の地域に根ざした働き方が理想か？

これらを冷静に見つめ直すことで、「自分に合った働き方」が明確になります。

③5年後、どんな薬剤師でありたいか？

• 責任ある立場で人を育てたい
• 経営や売上管理にも関わってみたい
• 週3勤務で副業しながら生きていきたい

未来の自分の姿を具体的にイメージすることが、今の選択のヒントになります。

いまの上司の働き方をみて
参考にしてみるのがおすすめです。

上司の働き方が数年後の
出世したあなたの働き方となります。

現役ドラッグストアリーダーとしての本音アドバイス
「出世の可能性があるなら挑戦してみるべき！」

私自身、新卒の頃は「薬剤師を辞めたい」とずっと思っていました。

調剤や服薬指導の仕事に、正直“楽しさ”を見出せなかったです。

患者さんに薬を渡すだけの日々に、やりがいを感じられず、
「この仕事を続ける意味があるのかな」と自問する毎日でした。

しかし、数字（売上や加算）が伸びることは、喜びを感じました。

自分の工夫が成果に反映されるのが嬉しくて、
それがモチベーションにつながっていました。

出世のチャンスは「突然」やってきた

そんな中で、会社から「リーダーをやってみないか」と声をかけられました。

正直、そのときの気持ちは複雑でした。

なぜなら、当時の上司を見ていて、“プライベートも仕事漬け”に見えたから。

「自分もあんなふうになるのかな……」という不安が大きく、

内心では出世なんてしたくなかったのが本音です。

でも、断る勇気もなく、結局引き受けることになりました。

リーダーになって初めて気づいた「やりがい」

ところが、実際にリーダーをやってみると、
「思ったより大変じゃない。むしろ楽しいかもしれない」
と感じました。

仕事量が爆発的に増えるというよりは、
役割の質が変わる感覚でした。

現場でただ与えられた業務をこなすのではなく、
「どうやったらこの店舗がもっと良くなるか？」を考え、提案し、実行できる。

裁量のある仕事が増えたことで、自分の力を発揮しやすくなりました。

成長する後輩を見ることが、一番のやりがいに

そして何より、部下の成長を間近で見られることが、本当に嬉しいです。

とくにドラッグストアは若手が多く、
伸びる人はどんどん成長していきます。

そんな彼らが自信を持って患者さんに接するようになり、
自ら動き、後輩を指導していく姿を見ると、
心から「やってよかった」と感じます。

“人の人生の大切な時期に関われる”というのは、
プレイヤーのときには味わえなかった、
リーダー職ならではのやりがいだと思っています。

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出世後に自分に合わなければ、現場に戻ることができます。
もし現場に戻れなくても、役職を経験していれば
高待遇での転職が可能です。

出世はある程度限られた人しかできない経験なので
チャンスがあればぜひ挑戦してみてほしいです。

まとめ：出世＝正解ではない。でも知っておくことで“選べる”

出世の道があることを知るだけで、
自分にとっての最適なキャリアが見えてくることもあります。

「この会社で上を目指す」も、
「今の働き方をキープする」も、
どちらも正解です。

大切なのは、「納得感を持てる選択」をすることかと思います。

まずは選択肢として
持っておくことが自由につながります。

キャリアの選択肢については
自社だけでなく他者を比べることで視野が広がるので
転職エージェントに相談するのがおすすめです。

キャリアプランについての相談をするなら
ゆっくり相談ができる中小がおすすめです。
（大手は転職をせかされやすいです）
おすすめの転職エージェントについて紹介した記事もあるので参考にしてみてください。

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